第1263回 報恩講の赤いお蝋燭

平成29年 4月13日~

 巡番報恩講にお参りして、こんな冊子をいただきました。
子どもさん向け、お話です。



 報恩講というのは、親鸞さまのご命日のお参り(ご法事)です。
1月16日が親鸞さまのご命日です。
ご本山(本願寺)では、1月9日から16日まで「御正忌報恩講」として
お勤めされています。
私たち浄土真宗のお寺では、すこし時期を早めて報恩講をお勤め
するところが多いようです。

 報恩講といえば、赤いお蝋燭でご法事をお勤めします。
私は赤いお蝋燭が大好きです。なんだかお祝いのような感じがして
うれしくなります。
ご命日というのは、人が亡くなった日なのにお祝いのように思うのは
おかしいでしょうか?

 確かに、ご命日は人が亡くなった日ですが、「阿弥陀さまはあなたを必ず、
お浄土に生まれさせ、仏さまにならせます」とお誓いくださり、
「わたしにまかせてくださいね」と「南無阿弥陀仏・なもあみだぶつ」と
お念仏となって、よびかけていてくださいます。


私たちは、死んで終わっていく「いのち」を生きているのではなくて、
仏さまに生まれて往く「いのち」を阿弥陀さまに約束されて生きているのですね。

 ご命日は、お浄土に往き仏さまに生まれた日ということができます。

つまり、ご命日は尊い仏さまに生まれた「お誕生日」といえるのではないでしょうか !
赤いお蝋燭には「お誕生日おめでとうございます」とお祝いの意味が込められて
いるように私は思います。


 親しい人や大好きな人とのお別れは、つらく悲しいことですね。
私のお父さんは、私が13歳の時に亡くなりました。とても悲しくて寂しくて涙が
とまりませんでした。

しばらくの間、お父さんとの別れは私にとって、ただ悲しいことにしか思えませんでした。

 でも、4年ほどたって、お父さんが書いていたノートを見て気がつきました。そこには、

   阿弥陀さまは、必ず私をお浄土につれて往き、素晴らしい仏さまに生まれさせて
   くださるのですよ。お浄土で仏さまにならせていただいたら、阿弥陀さまと同じ
   お心にならせていただいて、「南無阿弥陀仏」とご一緒に、今あなたがいるところに
   仏さまとなってかえってくるのですよ。阿弥陀さまのお心を思いながら、お念仏を

     称えてくださいね。私は仏さまとなって、いつもあなたのそぱにいますよ。

と書き残していてくれました。その時、仏さまとなったお父さんと出遇えた

ように思いました。そして、とてもうれしくなりました。

 「お浄土に往き仏さまに生まれる」ことを、往生といいます。
私たちは、阿弥陀さまに願われて、往生させていただく頼もしい「いのち」を恵まれて
生きているのですね。阿弥陀さまに「ありがとうございます」、

阿弥陀さまのことを教えてくださった親鸞さまに「ありがとうございます」と
いう感謝の意味が赤いお蝋燭に込められているように私は思います。

 「親鸞さま、ご往生おめでとうございます」「阿弥陀さま、親鸞さま、ありがとうございます」と、
心をこめて報恩講をお勤めさせていただきましょう。


           企画・制作 浄土真宗本願寺派少年連盟

文 内田正祥 師


          


           私も一言(伝言板)