第1191回 「自分が正しい」 ばかりでは

平成27年 11月26日〜

 娘さんが、帰ってきたら食べようと、お菓子をテーブルの上に置いたまま、
近所のコンビニヘ買い物に出かけました。
そこへ外出先から戻ってきたお母さんがお菓子を見つけ、
「あら、おいしそう」と食べてしまいました。
帰宅した娘さんは、お菓子がテーブルの上にないのを見て、お母さんに聞きます。


「ここに置いていたお菓子は?」
「おいしそうだったので、食べたわよ」
「どうして勝手に食べるのよ。せっかく楽しみにしていたのに」と
娘さんは怒りました。お母さんも負けていません。

「それなら、自分の部屋に置いておけばよいでしょう。テーブルに
  置いておくから悪いのよ」
娘さんはますます頭にきて、「人のものを勝手に食べるのは犯罪と
一緒よ」とお互いに相手が悪いと主張しあい、口論はエスカレートする一方です。

 世の中の人と人との争いごとの多くは、この例話のように、双方が
「悪いのは相手だ」と非難しあうことで起こります。
「悪いのは相手だ」とする論理の裏側にあるのは、言うまでもなく、
「私は正しい」{自分は問違っていない}とする考えです。

そのため、相手の非を責めても、自分の非を認めようとはしません。
結果、争いはますます拡大していくことになります。


 世の中は、人と人との関係性によって成り立っているのですから、
みなが自分の正当性を押しつけあっていたのでは、諍いは絶えません。
「私は正しい」との思い込みは、自分にとって都合のよい、独り善がりの
判断である場合も少なくないのではないでしょうか。

「悪いのは相手だ。自分は正しい」と主張するばかりではなく、
「自分にもいたらないところがあるのでは」と、こころを開いて
相手と向き合ってみる。
すると、トラブルが起きにくく、大きなトラブルに発展するリスクも
少なくてすむと思います。

           株式会社PHP研究所発行 「人生は価値ある一瞬」より


         


           私も一言(伝言板)