ピンク・レディーの活動大写真

第一話

ミーとケイが“仲良し姉妹”になって、
同じ男性を恋人にしちゃう下町人情編。


ここは東京の下町。その片隅のアパートに、2人きりで暮らすケイとミーは、貧しいけれど、明るくけなげに生きている姉妹だった。患者さんのあいだではすごい人気だ。今日も、交通事故で入院している田中夫人か

「息子の嫁になって」
と申し込まれた。

そこへ入って来たのが、その息子の高之。貿易会社のサラリーマンである彼は、男らしくて、とってもハンサム。ひと目見ただけで ケイはポーッとなってしまい、胸の鼓動がどきどき、目先はくらくら。
その晩、アパートに帰ったケイは、信用金庫に勤める妹のミー に、高之のことを打ち明けた。

「彼からプロポーズされたら、喜んで受けるつもりよ」
「よかったわね、お姉ちゃん!」


ミーは、心から喜んでくれた。そして、そのミーも、実は結婚したいと思っている人がいることを告白した。しかし、服部というその相手がスナックのバーテンダーだと聞いて、ケイは猛反対。

「悪いことは言わないから、今のうちに別れなさい。スナックに勤めている男な んて、きっと狼なんだから」

  ♪男は狼なのよ 気をつけなさい
   年頃になったなら つつしみなさい
   羊の顔していても 心の中は
   狼が牙をむく そういうものよ・・・・・


でも、ミーはあきらめてなかった。そのことで、仲のいい姉妹の間には溝ができ、ミーは家を出て、彼と暮らすとまで言い出した。
心配したケイは、服部の勤めるスナック“シンドバッド”へ、様子を見にやってきた。そこで服部の顔を見て、ケイは、ビックリ仰天。なんとそれは、あの田中高之だったのだ。
高之は、円高で会社が倒産したために、服部と名乗って、ここでバーテンダーをしているのだという。

「妹のことを、どう思っていらっしゃるの?」
「・・・・・愛しています。」


ケイの胸で、初恋がパチンと割れた。涙を隠して、高之をミーに譲ろうと決心するケイ。でも、妹の愛する相手が、同じ高之だったと知って、ミーは大ショック。

  ♪ここかと思えば またまたあちら
   浮気なひとね
   サーフィンボート こわきにかかえ
   美女から美女へ・・・・・


ミーは、姉のために、高之をあきらめようと思った。

「あの人が本当に愛してるのは、お姉ちゃんなのよ」
「違うわ。あの人と結婚するのは、ミーちゃんよ」
「強がり言わないで。お姉ちゃんにとっては、やっと見つけた初恋の人でしょう 私なんか、ボーイフレンドは山ほどいるもの」

そう言って、笑ってみせるミーの目に、キラリと光るものがあるのを、ケイは見逃さなかった。
翌日、ミーは“シンドバッド”へ行って、高之に、姉と結婚してほしいと頼んだ。意外なその言葉に高之はがくぜん。

「僕が愛しているのは、君なんだよ」
「私は、愛していないわ。・・・・・お願い。姉にとっては、一世一代の恋よ。 その気持ちを思うと、私、せつなくて・・・・・」


そこへケイがは入ってきた。あわてて椅子の影に隠れる。それとは気がつかず、ケイは高之にこう切り出した。

「私、あなたとは結婚できません。いままで妹にも黙っていたんですが、私は前 に勤めていた診療所の検査技師と、恋仲なんです」

そして彼女は、杉本という男を呼び入れ、婚約者だと紹介した。

「私たち、春には結婚する予定です。ですから、どうぞあなたは、妹をきっと幸せにしてやってください。」

2人が出て行ったあと、ポカンとしているミーに、高之は言った。

「君はいい姉さんを持ったね。あれは君と僕を結びつけるための、ヘタな芝居な んだよ」
「じゃ、あの男のひとは?」
「母と同じ病院に、ケガで入院していた労務者だよ」
「お姉ちゃんったら・・・・・バカみたい」


そう言いながらも、ミーは胸に熱いものがこみあげ、高之にすがって、激しく泣きじゃくった。
その頃、病院の外ではケイが、臨時婚約者の杉本に激励され、すべて吹っ切って、静かに立ち去ろうとしていた。でも、その表情には、やはりまだちょっぴり哀しみが・・・・・。ケイ、かわいそう

VIVA! PinkLady 活動大写真 i第二話

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