I FEEL LOVE / DONNA SUMMER
I Feel Love / Them From The Deep
1977 CASABLANCA
Last Pretender
糸井重里:作詩  高橋ユキヒロ:作曲  高橋ユキヒロ:編曲
81/01/21発売(SV-7080)


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シンセサイザーというコンピューター楽器の登場により、世界的に認知される新しいジャンルの到来『テクノサウンド』が産声をあげ、ドイツからKURAFTWERK / クラフトワーク、日本からYMOYellow Magic Orchestra)が登場し、その後に続くアメリカのヒットチャートをイギリス勢が占領するという80年代にイギリスか端を発した『NEW WAVE』へと確かな歴史が刻まれた。

YMO一派が制作したこの楽曲『Last Pretender』。PINK LADY / ピンク・レディーとYMOはアメリカ進出をほぼ同時期に進行していた事も関係しこの楽曲提供へと話しが進んだといういきさつも興味深いところである。

打ち込みによるリズムとシンセサイザーの応酬が哀愁漂うバックトラック、まさにテクノ。しかしながら今回はPINK LADYのボーカルワークに注目していただきたい。このライナーノーツでは、『洋楽テイストのサウンド』をテーマにしているのだが、そのボーカルワークについて検証したい。

アメリカでの作品で、Micael Lloyd / マイケル・ロイド氏によって生み出されたPINK LADYの新たなボーカルワーク『ウィスパー歌唱法』を基本ベースに、無機質でクリスタルなファルセットを多様して料理しているPINK LADYのボーカル。
この歌唱法はミュンヘンサウンドの歌姫として登場した頃のDONNA SUMMER / ドナ・サマー
I FEEL LOVE』でも確認できる。

もともとDONNA SUMMERPINK LADYも太い声を張って歌うシンガーである。しかしながら楽曲の持つ個性を生かしつつ歌唱法を変幻自在に操る術、さすがプロの仕事。

当時ある日本の音楽誌で・・・
『日本の音楽シーンにおいてトップの座に上り詰めたこともあるPINK LADYが歌の技術を必要としないテクノサウンドを新曲として発表』

などと意地悪な記事が掲載されていたことがあった。馬鹿にしてもらっちゃこまる。デクノの真髄をお分かりなのか?
ビブラートも声の抑揚の一切をも、表現することなく歌われているからこそテクノの醍醐味!プラスティックな表情を歌声で表現しエレクトリックなサウンドが引き立つのである。

音楽的に時代を先取りした事が、歌謡曲の評論家にはナンセンスと聴こえたのなら、それも良し。アメリカでのPINK LADYの活躍を、何より評価してくれたYMOの手によって制作されたのだから!
     

Thanks!