[ORIGINAL : MIRACLE 収録]                 [12inch : I BELIVE IN MIRACLE]
I BELIEVE IN MIRACLE /JACKSON SISTERS
カルメン’77
阿久 悠:作詩  都倉俊一:作曲  都倉俊一:編曲
77/03/10発売(SV-6184)
視聴可能サイト

70年代のSOULを見直そうというムープメントが80年代後半に起こった。

レア・グルーヴ』である。

多数の楽曲が掘り起こされ、その中でもひときわ注目されたのが、JACKSON SISTERS / ジャクソン・シスターズカリフォルニア出身の黒人姉妹〈5人〉で結成された。

73年に発表された彼女達のI BELIEVE IN MIRACLE』は全米ヒットチャート89位のスマッシュヒット!(アルバムは76年に発売) まさにグループとして現存していない15年後に世界中で注目されレア・グルーヴの核となる位置づけで認知されたのだ。


PINK LADY / ピンク・レディー『カルメン’77』のイントロで流れてくるあの癖になりそうなホーンセクション、曲の途中にも効果的にリズムとホーンが鳴り響くパターン、JACKSON SISTERSと聴き比べてみると、なるほどである。

そしてドラムが奏でるリズム。複雑なおかずを間に入れながらコンビネーションでボトムを効かせてくる部分、もうまさにこれはレア・グルーヴ。FREE SOULの世界がドップリと根底に滲みみ出ている。

上記2点を加味した上でJACKSON SISTERSの『I BELIEVE IN MIRACLE』と聴きくらべていただきたい。

PINK LADY / ピンク・レディー『カルメン’77』がレア・グルーヴであると耳で納得できる。

PINK LADYの大半の楽曲を手がけた都倉俊一氏は、パッチワークのようにメロディーをつぎはぎして、サビの応酬が展開されているような作り方である。アレンジは大胆かつ緻密で『音の洪水』を表現したかと思うと、いきなり抜きの美学で楽器の音色とボーカルの存在感を浮き上がらせ印象づけるという技を持つ作曲家でありアレンジャーだ。

PINK LADYの作品を手がける上で海外の音楽を取り入れ、中でも黒いフィーリングを随所にちりばめる技法は、ダンスありきのPINK LADYには好都合!

もちろんインタビューなどでPINK LADYはフェイバリットアーティストとして常に黒人アーティストの名前があがっていたのも事実。


70年代の黒人音楽の中でも通好みとされていた楽曲たち、素晴らしい作品であったにもかかわらず、埋もれてしまっていた作品たちが『レア・グルーヴ』というムープメントにより蘇ることが出来た。

1977年という時代、のちにレア・グルーヴとして認知される作品に寄り添う楽曲『カルメン’77』が発表されていたことは、PINK LADYファンにとって誇りたい出来事だ。
     

Thanks!