第499回 受け継ぐことは

平成14年 8月15日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

突然に遠くから電話があり、自分の先祖のことを
調べてほしいとの連絡があります。


会社を退職し、子育も終わって、自分を見つめる時間が
できたとき、両親や祖父母のことが知りたくなってくるのでしょう。


先日も神奈川県からわざわざ訪ねてこられた方がありました。
両親が子供の頃に亡くなって、両親や祖父母の故郷のことを
全く知らなかったが、長生きの叔父さんが、お寺の名前を
覚えていたので、調べてほしいとのことです。


ご本人は、はじめて佐賀を訪れてこられたようで、
市役所にいっても、戦前の記録は消失しており、
お寺の記録が頼りといわれます。お祖父ちゃんの時代に
佐賀を離れられたようで、明治時代までの記録は
見つかりましたが、その後は、こちらでどうすることもできません。


知りたかったのは、佐賀藩が日本で一番初めに
蒸気機関車の模型を作り、走らせ、また反射炉で
鉄を作り大砲を完成させたり、日本の科学技術を
リードした時代に、自分の祖先が関わっていたのではないか、
それを知りたいとの期待からだっだようです。


お話ししながら、自分のルーツを探しても、せいぜい
三代か四代前までしか行き着きません。
その先祖たちがどんな人であったのか、どうゆう立派な
仕事をした人であるかを知ることも大事なことでしょうが、
それとともにその祖先たちが、自分の子供や孫や
ひ孫たちに何を期待しているのか。


どうゆう人生を歩んでほしいのか、それを知ることの方が
もっと大事ではないかと、お話ししました。


祖先探しをして、その先祖の存在を知ることとともに、
その先祖の願いを知ること、そのことの方がもっと
重要のように思います。


ご先祖さまは、自分の後継者たちに、何をしてほしいのか。

時代が変わっても、世代が変わっても、決して変わらない願い、
それは生きている親たちの願いとも共通する願い。


それを知ることが、最も重要なことではないかとお話ししました。

その願いをちゃんと受け取り、次の世代へ伝えていくこと、
そのことこそが親として最も大事な役割ではないかと。


それはどういうことか。

一言でいえば、南无阿弥陀仏を味わい、南无阿弥陀仏を
伝えていくこと、その南无阿弥陀仏の中に、ご先祖の願いが
人間共通の願いがすべて含まれているのだと思います。


次の世代へ残せる最大の財産は、南无阿弥陀仏を
受け継ぐこと、南无阿弥陀仏を次の世代へ伝えて
行くことではないかと思います。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
次回は、8月22日に新しい内容に変わります。

   

          

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