テレビ「いいひと」
 
妙念寺電話サービス、お電話ありがとうございました。
新年度になって、テレビの新しい番組がスタートしましたが、
なんとなく見ていたドラマに、痛く感動しました。
 
「いいひと」というタイトルの民放のドラマです。
自分の回りの人達を幸せにするのが、私の喜びという。
若き青年を主人公にした番組です。
 
私たちが、損だから、得にならないから、自分の仕事ではない。
頼まれていないから、と。
 
困っている人を見たときなど、素直に手を差し伸べれば良いことを、
素知らぬふりをして見過ごしていることを、この青年は、
自分の置かれている状況を忘れてしまい、さっさと実践しまうのです。
 
就職試験の開始時間が目前迫っているのに、
道に迷って困っているお婆ちゃんを、バスに乗せて上げたり。
落とし物を届けたり。急いでタクシーを止めたのに、
もっと急いでいる人にタクシーを譲ったり。
 
私たちが常識と思っていることを、ことごとく打ち破り、
素直に行動する青年。
 
一見、バカで、ドジな青年のように見えますが、
どことなく心温まり、すがすがしく、テレビを
見ている私を、暖かくさわやかにしてくるのです。
 
都会生活では無くなってしまった、田舎の人の、
ひとの良い暖かさのようにも思えますが、
どうも、それだけでは無いようです。
 
この青年の行動は、ちょうど念仏に生きた
妙好人と言われる人々と、よく似ています。
 
妙好人は、江戸時代から昭和の初期まで、
まだ科学もあまり発達しない、
経済的にも貧しかった時代に、
力強く念仏に生きた方々です。
 
この青年は、お念仏はしませんが、
現代に生きる妙好人のように思えます。
 
「いいひと」という言葉の響は、お人よしで、
損ばかりして、居ても居なくても良い、どちらかと言えば、
居ない方がよいような人とのニュワンスに聞こえますが、
この青年の行動を見ていると、何故か心温まることだけは、確かです。
 
 妙好人の生き方を想像させてくれます。
自分のことよりも回りの人びとの幸せの為に、
自分が今出来ることを素直に実行する。
 
頭で考えて行動する前に、もう、困っている人を
見るとさっさと動いている、そんな青年。
 
 番組は夜遅い時間ですが、機会があれば一度、ご覧になってください。
見ていると心の中が暖かくなってくるものです。
 
ことによるとテレビの主人公だけでなく、
私の回りにこうした、素直で素晴らしい、
思いやりのある人びとが沢山いらっしゃるのではないかとも思えます。
 
しかし、私たちが気づかずに、見過ごしているのかも知れません。
 
 やがて、私も、お浄土に生まれさせていただき、
仏さまと同じさとりを得て、仏様と同じように、
自分のことは最後にして、多くの悩み苦しむ人びとを、
ほおっておけずに、働き続けることが生きがいである、
仏様の仲間になるのです。
 
やがて、仏様の世界に生まれることを疑い無く信じて、
南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏のお念仏を忘れぬ毎日を
送らせていただきたいものです。
さて、妙念寺の門信徒総会と、親鸞聖人のご誕生を喜ぶ
宗祖降誕会は、5月5日祝日の、午前十一時から行います。
連休でお忙しいでしょうが、ご予定下さい。
妙念寺電話サービス、次回は5月1日に新しい内容に変わります。
 
 
                 ( 平成 9年 4月24日〜 第222回 )