第1237回 自分を優先

平成28年 10月13日~

 浄土真宗本願寺派では、親鸞聖人から 25代目になる新しいご門主が、
法灯を継承された記念の法要である「伝灯奉告法要」が 京都・西本願寺で
勤まっています。


法要を前に、大谷光淳ご門主の「ありのままにひたむきに」という本が
発行されました。その本の中に


 人間関係が希薄だということは
 相手のことよりも
 自分を優先してしまっているためではないか


 いまの時代はインターネットを使えば、日本にいても世界中のあらゆる
のを見られるようになっています。


 確かに昔よりはるかにたくさんの映像が見られるようになりましたが、
局、その映像を見るだけでその後ろにあるもの、目に見えないものを
想像する力が弱くなってきているのではないかという気がします。


 特に若い人は、映像を見てものごとを理解しようとする傾向があります。
昔から「行間を読む」という言い方がありますが、小説などにしても、
書いてある表面的なことしか理解できない人が増えているのではないかと
感じます。
表面的なものしか見えなくなると、相手の気持ちに寄り添うことも
難しくなります。

 人間関係が希薄になり、結局、相手のことよりも自分のことが優先されてしまう。
親子の間でさえ、そういうことが起きているのではないかと思います。

意識するしないにかかわらず、人間も自然もすべてのものごとは本来、
いにかかわり合って存在しているのです。
そのようにつながり合っていることの素晴らしさを忘れていってしまうのは、
たいへんに残念なことです。

ういう時代だからこそ、この世界に広がるかかわりと、その大切さに
気づいていきたいと願っています。


          PHP研究所発行「ありのままにひたむきに」より


         


           私も一言(伝言板)