第1213回 聞法の道場

 平成27年 4月28日〜

天岸浄圓先生が、お書きになった こんな文章を拝見しました。

 今日では、お寺といえば、本堂に入ってお参りすることが
当然のように思われていますが、古くは、本堂に入って
お参りをすることはありませんでした。
奈良時代に建てられた寺院、たとえば奈良の東大寺や法隆寺、
薬師寺などの場合です。・・・

本来仏さまにお参りするところは堂内ではなく、お堂の外の正面の
灯籠の前からだったのです。
東大寺では、大法要の折りなどは、あの八角の大灯籠の前に
舞台をしつらえておつとめがなされます。・・・

 鎌倉時代。法然聖人や親鸞聖人の頃になって、今日の真宗寺院の
原型が生まれてきます。

仏教が思想的に変化し、それにともなってお寺のあり方も
変わっていったのです。・・・

一人ひとりの人間が人生の悩みを超えるために、仏さまの教えを
聴聞する聞法の道場へと変化していったのです。

 そこでは、人間が仏さまのお堂の中に入ってお参りし、
教えを聴聞します。
いいかえれば、これまで人間から遠ざけられておられた仏さまが、
苦しむ人間に近づいてくださったといえましょう。

 そこでひとりでも多くの人が、本堂へお参りをし、仏さまの
教えが聞けるように、聴聞の場である「外陣」はより広く設計されました。
しかも参詣人の足の痛さを考えて、当時としては高価な畳を敷きつめました。
最近では座蒲団を敷いて・・・・・・イスまで配慮されてあります。
聴聞を第一義に考えてのことです。・・・



         


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