第1175回 ほんとうの宗教とは

 平成27年 8月6日〜

 世界には、いろいろな宗教があります。宗教というものは、
一人ひとりの人生に、意味と方向を与えるものです。
それだけに間違ったら大変なことになります。
道をあやまらせる、間違った教えもたくさんあります。

 浄土真宗の宗祖・親鸞聖人は、宗教に真と仮と偽、つまり、ほんものと、
仮(かり)のものと、にせものがあると分類し、まことの宗教は、
浄土真宗であるとお示しになりました。


仮の宗教とは、人々を真実へ引き入れるための、教育手段として
設定された教えのことです。

 宗教なら、どれも同じところを目指すものだ、という人がありますが、
決してそうではありません。
人間の欲望を満たすために、お金がもうかるとか、病気を治すとか、
この世での利益を得る手段として信仰を説く宗教があります。


また、神の正義のためという名のもとに、人間の「いのち」も、しあわせも
犠牲にすることを要求するような宗教もあります。これは偽(にせ)の宗教です。

 我欲を助長したり、罰を与えるといって、恐怖におとしいれるようなものは、
決して真実の宗教とはいえません。宗教の名のもとに家庭を破壊し、世界を争いに

巻き込むことさえあるのです。

 親鸞聖人は、我欲を中心とした、とざされた心をひらかせ、私た

ちすべてのものを「仏」にすることのできる、お念仏のみ教えこそ、
ほんとうの宗教であるとお示し下さいました。

 「仏」とは、「真実にめざめたもの」という意味の言葉です。
私たちがみずからの心の迷いに気づき、我欲をたち切って、真実の世界に
生きるようになることを、仏になるといいます。ただ目の前の欲望を追い求め、
自分のことしか考えないせまい心からぬけ出して、真実を見る眼をひらく
とともに、自分以外の人びとの、まことのしあわせを願うような人になることです。

 親鸞聖人が歩まれ、示されたお念仏の道は、そうした仏になる道でした。

私どもは、この念仏の道をたゆみなく、歩ませていただきたいものです。

                         朗読法話集 第一集より

         


           私も一言(伝言板)