2001年12月モカの交配をお願いした。今回お世話になったのは、家から車で40分程の桜やホタルの里として人気の町におられるブリーダーさんだ。私はある九州版のペット雑誌で知った。実はモカの交配をペットショップや別のブリーダーさんに相談したことがあるのだが、生理の出血の始まった日を見逃したりして、チャンスを逃してしまっていた。

 今回お世話になったブリーダーさんは、出血が始まっても大体の時期で、実際犬を見てくださっていつ頃にしましょうと言う段取りだった。しかも、目の前で交配して下さるとのことで、預けなくていいのもオーナーにとっては嬉しかった。
 ただ、モカは4歳半での初産だ。リスクのお話もハッキリしてもらった。その上で、挑戦することにした。モカにとっては、最初で最後の出産になるだろう。キャバリアを繁殖するにあたり、遺伝性の疾患に神経質になったりもしたが、今までに病気をしたことが無く、定期的に主治医に診て貰っても異常が無いので、身体的には問題ない、これなら無事に乗り切ってくれるだろうと思った。

 無事に交配が済み、年末年始と忙しい日々を送った。お正月には大阪から妹夫婦と姪が来た。1歳の姪は動物大好きである。家では猫と暮らしているが、犬にも興味津々なので、モカ達と仲良くなれるだろう。しかし、最初はモカとアリスは距離をおいて様子を伺っていた。モカ達にとっては妹の夫にばかりくっついていく。若い男性が大好きなもので・・・・・
しかし、姪っ子ともあっという間にまぶだちになり、三姉妹のように遊んでいた。
 まったく、キャバは子守も上手い。情け容赦ない子供に、尻尾をわしづかみにされても、ポコポコ頭を殴られても、どんなに手荒に扱われても絶対噛まない。多少の回避はあっても攻撃しないので安心して遊ばせられる。そんな日々の中、モカの食欲がなくなり、吐いたりした。モカは殆ど体調崩したりしたことがないので、妹も心配してくれた。まさか姪っ子がストレスになって・・・・・

       アーっ!そうか、ツワリだー!!
 
 主治医にエコーを取ってもらって妊娠判明。そう言えば太ってきてる。妊娠期間60日ちょっとと言うことで2月半ば前くらいの出産と予想して、顔がほころんでくる。

 何事もなく2月を迎えた。その間、リビングには、不似合いなコタツが出現した。ちぐはぐな部屋になろうとも全てモカの為である。決して私達のセンスがないわけではない。モカとアリスはソファーをジャンプ台にして出窓に上がる。そんな行動をさせてなるものかと言う親心だ。
 でも、そんな心配も無用だったかもしれない。通常6.8キロ以下のモカが9.22キロにまで体重増加し、まんまるパンパンのお腹になり、いつも、「どっこいしょっ」と動く、全く『おっかさん』がピッタリである。おっかさんはコタツの座布団で私のお手製の枕をして寝ている。この姿を見ていると「確か、モカはキャバのはず・・・・」とふと思ってしまう。昔はイギリス王室の愛玩犬とされていた天下のキャバリアなのに・・・

 私達の楽しみも増えた。モカのお腹に聴診器を当て、胎児の鼓動を聞くのだ。
あきらかにモカの大きな鼓動とは違う小さな、早い、トットットッ・・・・という音がお腹のあちこちで聞こえる。素人の予測では、3匹くらいかと話していた。
出産前にレントゲンも撮った。驚いたことにモカのお腹には
5号までいたのだ。

 出産の兆候が出たのは2月11日の午後だった。やはりビビってしまった私達はブリーダーさんの指示を仰ぎながら取り組もうとした。電話すると「うちに連れておいで」と快く言って下さったので、甘えて車を飛ばした。モカはお出かけだと思ってるのか、のん気にドライブ気分である。
モカを見て今夜か明日の朝位だろうと言うことで私達は一旦帰ることにする。出産を見たいだろうからと、始まったら連絡しましょうと言われた。嬉しい心遣いだった。

 家でもモカのことが気になってたが、数日前からモカにずっとついてた為、まともにベッドに入ってなかった私達は、とりあえず寝ておこうと早くにベッドに入ったものの寝付けなかった。夜中12時少し前、電話が鳴った。4歳半の初産のリスクがここで出てしまったのだ。第1子が引っ掛かってしまった所で、モカが痛がって力んだようで腹部を圧迫してしまい、蘇生を試みてもらったものの残念な結果になってしまったとの事だった。子供が大きいのと、逆子だったのも悪条件だ。
あとの4匹の為帝王切開、または陰部の切開だけで自然分娩を続けるか獣医と相談した方がいいとの事だった。夜中だったので、自宅開業されてる先生を紹介してもらって、そこで落ち合うことにした。レントゲンで5匹とも同じ位だった事を言うと、先生御夫妻は、帝王切開を勧められた。
私も出産経験はないが、切ると後の回復が大変とヒトの話は聞いていた。それがネックだった。
しかし、詳しく説明してもらい、「あと何時間も掛けて4匹出産するより、切った方が皆助かるし、母犬も楽よ」と言われ、承諾した。
 私の腕の中で麻酔を打たれたモカは頭をあげていようと頑張ってるものの、段々力が抜けて来た。そんなモカだったが、私にはとても力強く、立派に見えた。これから母になる者の秘めた力だろうか。

 もう、何分も経たない内に第2子が抱かれてきた。ブレンの男の子だ。ちょっと引っ掛かった状態だったのでナカナカ泣かない。ブリーダーさんが振って、こすって大きく呼吸させようとしてくれた。私達は、交配をお願いしただけなのに、こんなに夜中までついてて貰って、本当に心強く、感謝感謝だった。そんなことを思ってるうちに第3子、4子も生まれた。どちらもトライの男の子だ。
この子達はウゴウゴしながら泣いていた。先生は「又、男の子よー」とニコニコして連れて来られた。私は、女の子を1匹残すつもりだったので、あと1匹が気になる。
 ブレンの子が泣き出した頃、最後の子が出た。「最後、女の子」と言われ、この紅一点の子がうちに残ることに決定した。こうして3男1女が無事に生まれた。病院の中は歓喜の声で一杯だった。
 ブリーダー御夫妻も先生御夫妻にも本当にお世話になり、
2月12日午前1時30分〜1時間とかからないうちにモカの出産が終わった。モカは麻酔が効いてるうちにと、歯石取り、肛門腺絞り、爪まで切ってもらった.ボーっとしながらも立ち上がろうとした.りして、午前3時を過ぎた頃、病院を後にした.。
 用意して来た湯たんぽ(このために探した)入りのバスケットに赤ちゃん達を入れ、亡くなった第1子を連れ、夫がモカを抱いていた。
 家へ帰ると皆を一緒に寝かせた。アリスはビックリしている。モカにポカリ○エットを飲ませ(お乳の出が良くなるらしい)、私達はこの子達が可愛くて、側を離れられなかった。
 モカは既に母親の顔だ。御苦労様.。

 しかし、一番貢献した忘れてはならない者がいた。第1子である。トライの女の子で、240gとしっかりした身体だった。きちんと小さな箱に入れてブリーダーさんの奥様が、抱えて来て下さった。
 美人薄命と言う言葉がピッタリのきれいな子だった。この子が自分の命と引き換えにモカと兄弟を助けたと私達は思っている。
 この子はアンジェラと命名し、1日うちで一緒に過し、いつもモカとアリスがいる出窓の真正面の庭にお墓を作ってあげることにした。
 赤ちゃん達は午前5時頃、元気にオッパイに吸い付き、初乳を飲んだ。写真も撮った。寝ていないのに全然疲れていない。犬であれ、子供の誕生はすごいパワーと喜びを与えてくれる。
これから、子育ての楽しみが待っている。
 モカは、麻酔がすっかり覚めると帝王切開したかしら?と言うほど元気でごはんもしっかり平らげた。お腹には9針の私鉄の地図記号が出来ていた。『案ずるより産むが易し』この言葉を実感した。

 2週間後抜糸をしてもらい、何事も無く傷もきれいになっていた。オッパイはあふれるほどに出るので赤ちゃんたちは丸々として、順調に成長している。モカは立派な母親になった。
あたしは
妊婦様なのよ。
床にお腹が
くっついちゃうの
仰向けで寝るのは、お腹が大きいからじゃないの。いつもこうなの。
いびきも豪快だから『オヤジ』って言われるの。
生まれて数時間後の
赤ちゃんたち
右より
三男いくら  230g
長男きなこ  260g
次男ぽんず 280g
次女あずき  260g
おっぱいタイム
オッパイ争奪戦が始まる
弱肉強食の世界だ
おっかさん
寝てるおっかさん
3号誕生
なんとっ!モカがお母さんになるんだよ。
交配、出産の感動秘話公開
可愛いウゴウゴたちもお披露目しま〜す。
この赤ちゃんたちが成長するにつれ『がき帝国』を作っていくのだ。わんばくパラダイスの様子は、写真中心にご紹介しちゃうから、見てね。
 子供を産ませる事は、賛否両論、十人十色の考えがある。
もしも、生まれた子に新しいオーナーが決まらなかったら・・・不自由な身体で生まれてしまったら・・・その時は手元に残す覚悟をした。安易な考えで、生まれた子を不幸な犬にしたくないので、最悪の場合のことも頭に入れて交配に臨んだ。
 私達がキャバリアを探して、待って、迎えた時の気持ちをいつまでも忘れず、生を受けた子は必ず幸せになるようにしてあげることまでが、私達の責任だと思っている。
 今回の出産を経験し、モカもアリスもこうして生まれて,育ててもらったからこそ、今、私達の家族としてかけがえの無い存在になっていることを改めて感じ、母犬とそのオーナーさんに(お会いした事は無いが)感謝の気持ちが募る。
 私達のように、どこかでキャバリアを飼いたいと思ってる方と共に幸せになってくれるのが一番の理想だ。幸い、この子達はその理想のコースに乗ることが出来そうだ。
とってもキレイな子だったアンジェラ。庭に小さなお墓を建てました。 安らかに。
 美人薄命