塩を運ぶロバ(イソップ童話より)
| 背中にふとーか塩の袋ばかるわされたロバの川ば渡いよった。 | 背中に大きな塩の袋を背負わされたロバが川を渡っていました。 |
| がばいおふとーして、うっ倒るっごたっ。 | もう、重くて重くて今にも倒れそうです。 |
| (おふたかー、もうでけん。) | (重い、もうだめだ・・・。) |
| ロバはよろいけーて、水のなきゃうっ倒れてしもうた。 | ロバはよろけて足を滑らせ、水の中に転んでしまいました。 |
| 力の抜けてしもうて、起き上がっ力もなか。 | 力が抜けてしまって、起き上がる気力もありません。 |
| そがんしよったぎ、背中の塩のどんどんどん水に溶けて、袋ん中はからになってしもうた。 | そうしているうちに、背中の塩がどんどん水に溶けて、袋の中はからっぽになりました。 |
| 水ん中から起き上がったぎ、背中のかるーなっとって、ロバはすっかいした。 | ロバが水の中から立ち上がると、背中が軽くなっていて、すっきりとした気分です。 |
| (こりゃーよか。おふたか荷物ば運ばんばときゃ、水ん中さいうっ倒るっぎよかやっか。) | (こいつはありがたい。重い荷物を運ばされる時は、水の中へ転ぶのが一番だ。) |
| ロバはうれしゅーなった。 | ロバはうれしくなりました。 |
| 明けの日、ロバは背中に綿ばいっぴゃーかるーて、川ば渡いよった。 | 次の日、ロバは背中に綿をいっぱい背負って、川を渡っていました。 |
| 塩に比ぶっぎがばいかるーして、足のふらーふらすっこともなか。 | 塩に比べるとずっと軽くて、足がふらつくこともありません。 |
| そいばってんロバは考えた。 | それなのにロバは考えました。 |
| (ここでうっ倒るっぎ、まーだかるーなっ) | (ここで転べば、もっと軽くなる) |
| ロバはわんざと水ん中にうっ倒れて、しばらくしてから起き上がろうでした。 | ロバはわざと水の中に倒れ、しばらくして立ち上がろうとしました。 |
| ばってん、どがんしたこっちゃい。 | ところが、どうしたことでしょう。 |
| さっきはあがん軽かったとけ、綿はすっかい水ば含んでがばいおふとーなって、起き上がられん。 | さっきはあれほど軽かったのに、綿はすっかり水を含んでずっしりと重く、立ち上がることができません。 |
| ロバはそんまま流れにさらわれて溺れ死んでしもうたて。 | ロバはそのまま流れにさらわれ、溺れ死んでしまいました。 |
| (こいでしみゃー) | (おしまい) |
1999.07.27