NHK・自民党 vs 朝日

 
近ライブドアvsフジテレビの話題の陰に隠れてしまった感のある「NHKの番組に対する自民党議員の圧力の存否」問題であるが、昨日(4月1日)に再び自民党が朝日に対して釈明を求める通告を出したらしい。詳しい内容は知らないが、圧力をかけたという報道の根拠を尋ねるとともに取材方法に関しての質問があるという。これを聞いて、子供時代の記憶がよみがえってきた。それは「大」毎日新聞を傾けた西山事件である。
 西山事件(外務省機密漏洩事件)とは、1972年に外務省の機密文書漏洩の疑いで毎日新聞社政治部の西山太吉記者と外務省の女性事務官が逮捕された事件。沖縄返還に伴う軍用地の復元補償で、米国が自発的に払う事となっている400万ドルを実際には日本が肩代わりする旨の密約の存在を示す機密文書が漏洩した。毎日新聞社の西山記者が外務省の女性事務官との情交関係によって機密を入手したことが起訴状によって明らかになった。人妻との不倫によって情報を入手しながら「知る権利」による正当性を主張し続けた毎日新聞に世間の非難が集中し、「密約」に関する疑惑追及は完全に失速してしまった。そして、日本最大であった毎日新聞社は、不買運動などの影響で倒産してしまった。再建から現在に至るまで経営不振は続いている。
 一方、政府は現在に至るも密約の存在を認めていない。 しかし、事件後30年を経て「米国立公文書館保管文書の秘密指定解除措置」で公開された文書の中から密約の存在を示す文書が見つかっている。

 
回のNHK・自民党と朝日新聞との争いも、下手をすると西山事件のようなことになりかねない。筆者の推測では、NHKに対する自民党議員の「圧力」はあったと思う。さらに朝日の取材に対してNHKの幹部は「圧力」を受けたと証言したのであろう。そして、多分そのインタビューは録音されていたのだと思う。それでなければ記事の内容についてあれほど朝日が強気に出れるわけはない。しかし、録音した事実を認めれば、取材前の約束を破ったことになる。ここが朝日のジレンマだ。報道内容の正しさを証明すれば信義に反する取材をしたことを認めねばならず。信義を守ったと主張すれば、報道内容の正しさを証明できない。
 事情をよく知るNHKと自民党はそのジレンマを巧みについたのである。うまくすれば朝日の取材が「倫理にもとる」ことを世間にアピールでき、その結果「圧力」に関する追及をかわせるばかりか、目の上のたんこぶ朝日新聞を経営危機に陥らせることさえ可能となる。なかなかの作戦だと思う。

 
て、これからが本題である。
 
筆者はNHKは中立だとは思っていない。NHKの中には○共もいれば右翼もいるであろうから、ここの番組が偏向してくるのは当然である。もっと言えば「中立」であるかないか誰がどのような物差しで判断するのか一向にわからない。世間で言うところの中立は「両論併記」に過ぎない。聞こえは良いが主張も結論もない作品と言うことになる。
 また公共放送などと言うよくわからぬ看板を下ろしさえすれば
中立になる必要もないと思う。一民間放送として偏った立場の放送を大いに流せばよろしい。その代わり「うちの局は中立です」等と寝ぼけたことは言わない方がいい。現にアメリカの放送会社はそうなっている。
 次ぎに「圧力」をかけることが悪いか否かについてだが、筆者は別にかまわないと思う。「圧力」などと言う言葉を使うとおどろおどろしく聞こえる割に意味は曖昧だが、要するに意見表明、申し入れ、文句、苦情、因縁、脅迫等の総称なのだろう。そんなものにいちいち屈していて一人前のジャーナリズムといえるのか!つまり
「圧力上等。それに屈するならジャーナリストに非ず。」と言う気概が欲しいと言うことである。また、今回のように一方に偏したいかがわしい番組に対して圧力をかける行為は大いに推奨されるべき行為とだ思う。マスコミは権力である。権力は互いに牽制しあわねばならない。さもないと、一つの権力が肥大して国民に圧迫を加えてしまうことになる。今の社会では、司法、立法、行政の三権にマスコミを加えた四権の分立こそ自由を守ると思う。ひとりマスコミのみ他の権力の掣肘を受けないで良いわけはないと考える。
 さらに、今回殆ど報道されなかったが、NHKの説明によると自民党の国会議員に対して「大河ドラマ」については事前に説明にいったとのことである。圧倒的多数の国民が、大河ドラマを歴史そのものだと誤解している我が国であるから、筆者はむしろこちらの方の「圧力」にこそ興味がある。

NHK幹部・自民党 朝日新聞 筆者
NHKは政治的に中立か否か Yes No No
NHKは政治的に中立でなければならないか Yes Yes No
NHKの当該番組は中立であったか否か No Yes No
NHKに圧力をかけるのは是か非か No No Yes
NHKに圧力はかかったか否か No Yes Yes



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