厳罰化しても少年犯罪は減らないどころか増加する??

 人間の慣れとは恐ろしいもので、最近では凶悪少年事件の報道に接してもさほどに驚かなくなってしまった。被害者人権が芥子粒のように軽く扱われ、加害者の人権のみが厚く保護されるため、今や日本は少年犯罪天国と化した。悪ガキどもが連日、訳もなく暴れ、盗み、奪い、人を傷つけ、殺しまくっている。善良な市民は半ばあきらめの境地で、自分に災難が降りかかって来ないようにお祈り状態の毎日である。この異常事態に対して「少年法」を廃止したり改正したりして凶悪犯に厳罰を科そうという意見が出るのは全く当然である。しかし、ここでもまた左翼弁護士や左翼精神科医どもが跋扈する。曰わく、「アメリカ合衆国では、厳罰化を行ったにもかかわらず少年犯罪は減らないどころか増加した。よって、凶悪少年犯罪の厳罰化は必要ない。」
 このご託宣が、大衆やアホな政治家どもには、いかにも科学的統計学的な根拠があるように見えるのか、凶悪少年犯罪の厳罰化の要求が未だ大きな世論にならない。しかし、上記の主張は全く科学的ではないことを明らかにしていきたい。その前に、凶悪犯の厳罰化は決して凶悪な事件の予防のためだけにあるのではないことを確認しておかねばならないが、犯罪予防ということに限って議論することにする。
 ある要因の影響についてその有無や程度を検討する際に絶対に必要なのは「コントロール(対照)」をとることである。たとえばタバコの肺ガン発症に対する影響を調べるには、タバコを吸うグループだけを調査しても何の意味もない。必ずタバコを吸わないグループとの比較が必要である。それも、タバコを吸うか吸わないか以外の他の要因、たとえば人種、性、年齢構成などを出来るかぎり一致させて比較することによって初めてタバコが肺ガンをひきおこす要因かどうかが分かる。同じように、「厳罰化」が少年犯罪を抑制したか否かは同様な二つの集団の一方を厳罰化し他の一方をそのままにしてくらべたとき、二つの集団の犯罪発生に有意な差が認められないとき初めて「厳罰化」が少年犯罪の抑止に効果がないと十分な根拠をもって断言できるのである。
 これに対しては、「そのような実験など現実に出来ないではないか」との主張が予測されるが、それならば「厳罰化が効果がない」と断言するのは止めなさいといいたい。また、「厳罰化前後の犯罪の発生状況から見て、断言されないまでも示唆される」との意見に対しては、厳罰化前後の犯罪増加が直線的なのかあるいは二次曲線を描くものだったのか、直線的であるとしたら犯罪発生率に差があるのかないのか、他の少年犯罪多発国家で刑罰の強化を行わなかった国との比較はどうなのか、などについて「科学的」に検討したか否かを問わなければならない。
 筆者は「厳罰化」が犯罪の発生を加速させるとの真に科学的論理的証明がなされない限り、少なくとも大人においては刑罰が犯罪抑制的に働くという共通の認識と刑罰の持つ他の側面を考慮すれば厳罰化を行うのが至当と考える。



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