第1128回 ご法義のお風呂  ~お慈悲のぬくもりに浸り~

 平成26年 9月4日~

あるお寺の法座で 深川倫雄先生が次のような
お話をされたということです。

『大無量寿経 真実の教 浄土真宗
つつしんで浄土真宗を案ずるに、二種の回向あり。
一つには往相、二つには還相なり。』
   (『教行信証』 註釈版聖典 pp. 134-135

「ここ(お寺)は御法義のお風呂です……。」
私達は温泉が好きです。
あのゆったりとした時間の流れが良いのです。
温かい湯舟の中で、目をつむり、じっくり時の流れに身をまかせます。
側にいた人とのんびり話をして帰ります。

「折角だからここの温泉の成分と効能を覚えて帰らねば。」
は余計なこと。
「ほほぅ、ここの温泉には○○が入っていて△△に効くのか。」
聞いて忘れて帰ります。

案じる前にじわりじわりと効果は身にしみこんでいます。
お寺へ来た際、「折角の聴聞だから何か一つ得てやろう」と
構える必要はありません。
頭ではなく、身体を阿弥陀さまのお話に浸します。

「……法蔵菩薩は五劫もの間この私一人のために心労され、
「南無阿弥陀仏」、聞こえる仏になってくださいました。」
「……私があれこれ思うはるか前より、如来さまの方が
「南無阿弥陀仏」となって、私へ救いのはたらき(他力の回向)を
届けていてくださいました。」

聞いて忘れて帰ります。
お慈悲のぬくもりに浸り、“法悦”という極上の湯煙を吸っての家路です。

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  山口県岩国市 専徳寺ホームページより



         


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