第1123回 おかあさん ~喜び多い最高の人生を~

 平成26年 7月31日~

「ないおん」という、幼児を持つ保護者に、浄土真宗の教えを
わかりやすく伝えていただく冊子を毎月送っていただきます。
その中に「おかあさん」という法泉寺坊守さんである稲葉邦子さんの

次のような文章がありました。

詩人、まど・みちおさんが今年二月二十八日になくなられました。

「ぞうさん/ぞうさん/おはながながいのね/そうよ/
  かあさんもながいのよ」の、あの子どもからおとなまで
誰もが知っている詩を作られたまど・みちおさんです。

毎日新聞の記事によりますと、「この世の全てのものを

同じ宇宙の存在と感じ取る世界観」をお持ちの方のようでした。
一〇四才で亡くなられるまで創作意欲は衰えなかったそうです。

「ぞうさん」の歌詞の意図について詩人の阪田寛夫さんが問われたとき、
まどさんは「ぞうに生まれてうれしい ぞうの歌」と説明なさったそうです。

 私の弟がまどさんのなくなられる前日に、ふと書店でまどさんの詩集を

購入していました。
そして私に是非読んでみるよう貸してくれました。

やさしい、慈しみにあふれた言葉で生きとし生ける
すべてのいのちの尊さを教えて下さる詩集でした。
その中に「おかあさん」という一編があります。

おかあさん

おかあさんは
ぼくを 一ばん すき !

ぼくは 
おかあさんを 一ばん すき!


かぜふけ びょうびょう
あめふれ じやんじゃか

 お母さんはぼくを一番好き大好きと幾度もくり返し思い続けて下さるから、
いつの間にかぼくもお母さんを一番好き大好きに育てられてゆきます。

 そして一番大好きなお母さんと一緒だから、風も吹け吹け、雨も降れ降れ、
おそれないゾ、という勇気と元気が湧いてきます。

 お母さんはそれほどまでに子どもに信頼されています。
もっと言えば、それだからお母さんは何としても子どもの信頼に
こたえようとするのでしょう。

 どこかの宅配便屋さんのトラックに、黒猫のお母さんが
赤ちゃん猫をくわえている絵が描かれています。
あの絵は、どんなことがあってもまちがいなく安全に子猫を
移動させます、あなたのお荷物も! という意味でしょうか。

 何人子どもがいてもお母さんは、ひとりひとりを一番すき! です。
そのようなお母さんの慈悲の心の中に、この人生の荒波を乗り越えてゆく
力を子ども達は育んでゆくのでしょう。

 母の七回忌をすませた今でも、六十才をとっくにすぎた今でも、
私は母の慈愛を思いますとき、生き抜いてゆこうという力がよみがえります。

 という文章です。

お母さんのことが一番好きだと言える人は 素晴らしい人生を歩める方です。
そして、自分の親だけではなく 阿弥陀さまが私のことを一人子のように
思っていただいていると味わえる人は、歳をとっても病気をしても
どんな苦難に出あっても、喜び多い最高の人生を送ることが出来るのです。

「ぞうに生まれてうれしい ぞうの歌」が、「人間に生れてうれしい人生」を
送らせていただきたいものです。


         


           私も一言(伝言板)